話していると息が続かない方へ|一宮
公開日: / カテゴリ: サロンのNEWS
著者: 服部 健太(はかぜ整体院 院長・施術歴10年)
話の途中で息が足りなくなる、声が小さいと言われる。緊張のせいだと片づけられがちですが、肋骨が広がりきらないと、緊張がなくても吸える量は足りません。自分で確かめる方法と、姿勢との関係をまとめました。
呼吸が浅いかどうかは、自分ではいちばん分かりにくいものです。生まれてからずっと自分の呼吸しか経験していないので、比べる相手がいません。人前で話したときや階段を上ったときに、足りないことで初めて気づく、という順番になります。
息を吸うとき、肺が自分で膨らむわけではありません。肋骨が持ち上がって広がり、横隔膜が下がって、できた空間に空気が入ってきます。つまり吸える量は、肺の性能ではなく、肋骨がどれだけ動けるかで決まっている部分があります。
肋骨は、背骨と胸の骨のあいだをつなぐ形で並んでいて、一本ずつわずかに動きます。背中が丸まって胸が内側に寄った姿勢が続くと、この動く幅が減ります。動かない状態が長く続けば、周りの組織もその位置で落ち着いてしまいます。
肩甲骨も関わります。腕を体の前に出す時間が長い生活では、肩甲骨は外へ滑ったまま固定されがちです。肩甲骨のまわりの筋肉のいくつかは肋骨についているので、肩甲骨が動けないと、肋骨の広がり方も制限されます。
足りないぶんは、別の場所が補います。肩をすくめるように、首の横や鎖骨のあたりの筋肉を使って胸の上のほうを引き上げる形です。この吸い方は量が稼げないうえ、首の付け根が休めません。肩こりと息苦しさが一緒に来る方がいるのは、この重なりで説明がつくことがあります。
声についても同じことが言えます。声の大きさは、出ていく息の量と支え方で決まります。吸える量が少なければ、一文を最後まで押し出す力が途中で切れる。話し方の問題として練習しても変わりにくいときは、入り口のほうを見たほうが早い場合があります。
ただし、息苦しさには体の使い方以外の原因もあります。動いていないのに息が切れる、胸が痛む、夜に目が覚めるほど苦しい、咳が続くといった場合は、まず内科で確認してください。
肋骨が動いているかを、その場で確かめる
両手を脇腹の下のほう、いちばん下の肋骨のあたりに軽く当てます。そこから息を吸って、手のひらが横へ押し広げられるかどうかを見てください。お腹だけが前に出て、脇が動かない場合、肋骨の広がりは使えていない可能性があります。
次に、手を当てたまま背中側にも意識を向けます。肋骨は背中側にも回り込んでいるので、本来はうしろへも広がります。前だけが動いて背中が固まったままなら、そこが伸びしろです。
左右で差が出ることもあります。片側だけ広がりにくい場合、カバンをいつも同じ肩にかけている、寝る向きが決まっている、といった日常の偏りが見えてくることがあります。
話す前に、胸と背中の両方をひらく
椅子に浅く腰かけ、お尻の位置を決めてから、頭を上へ引き上げるつもりで背を伸ばします。胸を張るのではなく、背骨を長くする感覚のほうが、肋骨は動きやすくなります。
そのまま両腕を体の前で軽く組み、背中を丸めて息を吸ってみてください。背中側が広がる感じが分かれば、うしろへの広がりは残っています。そのあと腕を開いて前側を広げると、前後どちらも一度ずつ使ったことになります。
人前で話す直前にできるのは、吸うことより、吐ききることのほうです。吸おうとするほど肩が上がります。細く長く吐いて、肋骨が下がりきってから吸うと、入る量が変わることがあります。