産後骨盤矯正、おんぶで背中が痛む方へ|一宮
公開日: / カテゴリ: サロンのNEWS
著者: 服部 健太(はかぜ整体院 院長・施術歴10年)
抱っこ紐からおんぶに替えたら、肩は楽になったのに今度は背中と腰がつらい。産後によくある「痛い場所が引っ越す」現象について、体の前側と後ろ側で何が起きているのかと、家で試せる対処をまとめました。
赤ちゃんが重くなってきて、抱っこ紐からおんぶに切り替える。前が空いて家事もしやすくなり、肩の食い込みも減った。ところが数日たつと、今度は背中の真ん中あたりと腰が重くなってきた。つらい場所が消えたのではなく引っ越しただけ、という感覚を持つ方がいます。
抱っことおんぶでは、体の使い方がほぼ裏返しになります。前に抱えているあいだ、体は重さに引かれて前へ倒れそうになるので、腰を反らせて後ろへ踏ん張り、肩と胸は内側に丸まった姿勢で固定されます。この時間が数ヶ月続くと、体の前側は縮んだ状態が標準になります。
そこへおんぶが加わると、荷重は背中側に移ります。今度は後ろへ引かれるぶんを止めるために、体は前へ傾いて釣り合いを取ろうとします。ところが前側は抱っこの期間に縮んだままなので、うまく伸びてくれません。縮んだ前側と、引っぱられて働き続ける背中側とで、綱引きのような状態になります。背中の真ん中が張る、肩甲骨のあいだが重いという感覚は、この構図から説明できることがあります。
産後の体には、もうひとつ事情が重なります。出産のときにホルモンの働きでゆるんだ骨盤まわりの靭帯は、産後しばらくかけて少しずつ戻っていきます。その回復の途中に偏った姿勢が毎日続くと、ゆるんだ状態のまま傾きの癖がつきやすくなります。おんぶは左右のどちらかに重心がずれやすい抱え方でもあるので、その癖を後押しすることがあります。
つまり、背中が痛いからといって背中だけの問題とは限りません。背中は引っぱられている側であって、引っぱっている側は前にある、という見方をすると、なぜ背中をほぐしてもすぐ戻るのかの説明がつきます。
なお、産後の腰や背中の痛みでも、安静にしていてもうずく、足にしびれが出る、発熱を伴う、というときは自己判断で様子を見ないでください。産後の体は変化が大きい時期なので、いつもと違うと感じたら医療機関で相談するのが先です。
おんぶの高さと左右をそろえる
道具の使い方だけで負担が変わることがあります。まず確かめたいのは背負う高さです。赤ちゃんの位置が下がっていると、重さが腰の後ろにぶら下がる格好になり、背中と腰の仕事が増えます。おんぶ紐の肩ひもを締め直して、赤ちゃんの頭が自分の肩越しに見えるくらいまで引き上がっているかを見てください。
次に左右です。鏡の前で背負った状態に立ってみると、赤ちゃんが真ん中ではなく片側に寄っていることがあります。寄っている側の肩が下がり、反対側の腰で支える形になるので、片側だけがつらくなります。背負い直すときに、毎回いったん左右のひもの長さをそろえる習慣にすると偏りが減ります。
それから、下ろした後の過ごし方です。下ろした直後に前かがみで洗い物や片づけに入ると、縮んだ前側がそのまま固定されます。下ろしたらいったん、両手を後ろで軽く組んで胸を開き、数回呼吸をする。これだけでも前側に伸びる時間を作れます。
前側をゆるめる時間を先に取る
背中がつらいときに背中だけを押したくなりますが、前側が縮んだままだと同じ引っぱりがすぐ戻ります。順番としては、前を開いてから背中を動かすほうが理にかなっています。
やりやすいのは壁を使う方法です。壁の角や柱に片方の手のひらを肩の高さでつけ、体を反対側へゆっくり向けます。胸の前から脇にかけて伸びる感じがあれば当たりです。痛みが出るところまでは伸ばさず、気持ちよく伸びる手前で止めて、左右それぞれ呼吸を数回。授乳の合間や、子どもが寝た後の数十秒でできます。
背中側は、椅子に座って両腕を前に伸ばし、背中を丸めて肩甲骨のあいだを広げる動きが取り入れやすいです。抱っこでも家事でも背中は縮こまるより張って固まる方向へいくので、丸めて広げる動きのほうが不足しがちです。
産後の体は、休む時間そのものが取りにくいのが実際のところです。まとまった時間を作ろうとすると結局できないので、下ろした直後の三十秒に固定してしまうほうが続きます。